石狩川源流部の国道や林道を車で走っていて、もっともよく目にする野生動物はエゾシカです。薮陰から急に飛び出して来るので交通事故は頻繁におこっています。ときにはニホンカモシカのように垂直に近い初冬の断崖で採食している姿がみられるかとおもえば、ひょっこりと層雲峡の商店街に現れては各家の植木を食べ尽くしています。おかげでビジターセンター前のイチイ(オンコの木)は先端部の葉を残していつも丸裸です。以前には小雪降る中を酒屋の前にたたずんでいるエゾシカの姿をよく見かけましたが、与えてくれる餌を辛抱強く待っていたのでしょう。
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鹿のお尻は白い。危険を感じると、もっと膨らむ。
警戒サイン。 |
ニホンカモシカはベトナムから極東アジアにかけて広く分布しています。日本産亜種はエゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカなど7種に分けられていますが、南方から北方にいくにつれて体のサイズは大きくなります。(これは『ベルクマンの法則』をいわれています)。もっとも大型のエゾシカの雄の成獣は130〜140kgにも達します。林道などでばったりと遭遇すると一瞬身構えるほどです。もっとも小型なのは屋久島に分布するヤクシカで体のサイズも角もエゾシカの半分しかなく、40年近く前に九州の最高峰である宮の浦岳の丈低いヤクザサの茂みの中でそのかわいい姿に出逢いました。
一般的には、エゾシカは雌とその子が一緒に暮らす母系集団で、雄とは別に行動しています。そして雄は秋の繁殖期になると、雌の群れに入ってきますが、繁殖が終わるとまた別れていきます。しかし冬期などは雄と雌が共に行動して大きな群れをつくることがあります。出産は4〜5月に1頭(まれに2頭)の子を生みます。
活動は早朝と夕方から夜にかけて活発に行う、いわゆる“薄明薄暮型”で、この時間帯には国道沿いでもよく採食している姿が観察されます。大雪山系ではおもに山麓部から中腹の森林帯にかけて分布していますが、最近では、一部の個体群は高山帯にも訪れ、高山植物の食害も目立っていますし、思いがけないところに登山道のようなトレイルが現れたりしています。食性は草食性ですが、冬期には林の中で樹の皮を剥がして食べたり、小枝やササ類などを採食しています。
毛変わりは春と秋の2度で、冬毛は暗い灰褐色、夏毛は黄赤色に白い斑点のある“鹿の子模様”となります。雄の角は毎年春には落ちて新しい角に生え変わります。その成長過程は、当歳で角なし、2歳で1本角・先端二股、そして2歳以上で3本角以上になりますので、エゾシカの性別や個体識別に利用できます。
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